ほんまにびっくりしたサプライズ

なおやん

2011年07月03日 19:50


学生の講師をやって、約2ヶ月。

週3回やから実質は、1ヶ月半ぐらいかな?

最終日を迎えて、楽しかった先生生活も一区切りを迎えた。



俺は、毎朝思い付きで話をする。

朝一からいきなし勉強って俺的にはあんまりやったし、

授業以外の話もあった方が面白いかなってね。



就職活動している学生に対して、

「会社にこび売るなよ」とか「聞こえのいい事ばかり言うなよ」

とか結構ぶっとんだことを言い続けてきたかも知れんな。



それでも、なぜか上手くコミュニケーションはとれた。

1週間ぐらいで、もうすっかり馴染んでぶっちゃけ話もできるようになってた。

きっとこれは、俺自身が自分のことを先生だと思ってなかったからかもしれんな。



ここの仕事をもらった時、何を一番伝えたいのか?って考えた。

ITが面白いってことか?高い成績をとることか?資格をとることか?

一つ一つ考えたけど全部違った。こんなことはどうでもいいって真剣に思った。



よ~く考えたけど、結局これしか浮かばなかった。

近所の兄ちゃんみたいな存在で、ちょっと変わってるけど面白い奴。

うん、これがいい。凄くなくても良いから、楽しんでもらえればいいなって。



最初に、みんなの顔を見た時、すぐに気付いたことがあった。

みんな、自信なくしてる。みんな、面白くなさそうな顔してる。やった。

何があったのかは知らんけど、この洞察はすぐに間違ってないなって思った。



質問すると、びくっとして、すぐに「分かりません」と言う人が多かった。

前で説明してもらうと、おどおどして、自信なさそうにぼそぼそしゃべる人が多かった。

能力が低いのか?頭が良くないのか?いや、そうじゃない。原因は他にきっとある。



やる事ははっきりした。

徹底的に褒めて、挑戦したくなる空気を作ること。

そのためには、普通の授業やってるだけじゃあ無理なのは承知。



毎朝、自由にスピーチしてもらうことにした。

テーマは自由に、あくまで内容は気にせずにとにかく自分が楽しいことをしゃべること。

で、聞いてる人は感想をかくんやけど、褒める以外のことはしないこと。



これだけで、空気が和む。中には、想像してた以上にぶっとんだ話をしてくれる

つわものもいたり、ピーが入るような話もあったり、人生観を語るやつもでてきたり。

5分が目安やったのに、30分以上も話し続けるやつもでてきたり。



もちろん大人しいヤツもいるけど、全員が前に立って、挑戦してくれた。

全員からお褒めの言葉を受け取って、きっと心の底では嬉しかったに違いない。

なぜかって、学生同士の会話でも、先生との会話でも褒められることがほとんどないから。



誰だって褒められた嬉しいはずやのに、相手にそれをしている大人のなんと少ないことか。

厳しく接するのが教育方針とか抜かす大人もいるけど、自分がされて嬉しいことは

相手にも当たり前にやったほうが良いに決まってる。



目の前の人に褒められると、その人は褒めた人に対して敵対心なんか持ちようがない。

それどころか、自分も褒め返したいってなるのが人間の心情やもんな。

これをやるだけで、人間関係が一気によくなるのは、何回も見てきたから。



無茶振りの質問もたくさんやった。ただ、分かりませんは禁止した。

分からなくてもいいから、あてずっぽでもなんでもいいから、何か答えてもらった。

すると、すぐに諦めた人も、う~んって考えて、自分なりの答えを出すようになる。



正解を出して欲しいわけじゃない。間違ってても全然OK。

結果はどっちでもいいから、一歩前に踏み出す挑戦をして欲しかっただけ。

間違っても、そこで笑いが生まれればOKやし、何か気付くこともきっとある。



こういうことを徹底して、ずっとやってもらった。

ただ、堅苦しくなるのは嫌やから、授業中私語OKやし、

飽きたら違うことをやってもいい。眠くなったら寝てもいい 笑



ここに来て3日目ぐらいに、ぶっちゃけて聞いてみた。

ITに興味ある人。答えは50%は興味ないどころかもう絶対嫌って答えた。

この反応を見て、本当に興味がないとはどうしても思えなかった。



真面目に、普通に、常識的に、ITを学ぼうとしたら、つまらないはず。

一部の技術思考の人は除いて、目に見えない世界やから、余計にそうなる。

ただ、それはやりようによってはいくらでも変えられる。



小さい頃、授業自体に興味を持ったことがあったのは、先生が面白かったから。

内容よりも、先生が楽しくやってくれると、興味が勝手に湧くし、そんなもんや。

俺は、教師や先生は、「内容+エンターテイメント」やと思ってる。



同じ内容をどうやって面白おかしく、楽しく興味を惹くことができるか?

内容を正しく伝えられるのは、当たり前。これだけやったら経験者は誰でもできる。

教えなくても教科書を見て進めていけばなんとかなる。じゃあ先生の役割は何か?



教科書の内容を教えることじゃなくって、色んな経験から、難しいことも

分かりやすく、かつ興味を持ってもらえるように工夫して伝えることやと思う。

先生にとって、学生はお客様であると思ってる。お客様に対して創意工夫するのは当然やもんな。



成績も、採点基準も、全て見せるし、隠し事は一切しない。

よく分からないまま、先生が一方的に評価するのはフェアじゃないし、

納得感があって、自分がどう評価されているのかは誰でも知りたいもんな。



お陰で、たった2ヶ月やったけど、かなり意思疎通できたと思う。

これは他のどの先生よりもできていたはず。それだけ感触があったからね。

自分が伝えたかったことは果たせたのですごく満足できた。



最終日、軽く挨拶して、いつものように少し話をした。

先生や大人の言うことは信じなくても良いから、自分の個性を伸ばせよって。

楽しい場所や、面白い空間は、人に頼るんじゃなくて自分たちで作っていけよって。



後片付けをしてると、留学生が寄ってきた。

「これ、つまらないものですが、自分の国のものです。」って。

正直びっくりした。たった2ヶ月やったから、こんなことしてもらえるなんて

思っても見なかった。しかも、相手は留学生。日本語の授業できっと分からない

ことだらけやったはず。それなのに、こうやってプレゼントを持ってきてくれた。



すごい感動した。少なからず、相手の個性を信じて認めようって

やってきた気持ちが伝わったんやろう。言葉のコミュニケーションは上手くとれて

いなかったやろうけど、言葉を超えて、気持ちが伝わってたことに嬉しくなった。



実は、ここ数週間、メンタル的にはボロボロやった。

トラウマと向き合って、すごい感情が揺さぶられることが多くて、決して絶好調では

なかった。それでも、こうやって人に喜ばれていると実感することができて

ほんまに、いい学生たちに出会えてついてるなって感謝したくなった。



学生に何か伝えたいと一心でやってきたけど、こうやって学生から

いろんなことを受け取って逆に教えられることもたくさんあった。

年齢や経験は関係ないなって思ったよ。色んな個性がいて、だから面白い。



やっぱり、人前にたって何かを伝えるという仕事は天職やわ。

目の前の人がどうやった自分の才能に気付いて、楽しく生きられるか?

って考えるのはすっごい楽しいし、何よりこっちも学ぶことがたくさんあるしな。



メンタルが落ちていようが、絶好調であろうが、できることはあるんやな。

善の部分も、悪の部分も全部さらけ出して、こんな大人ですがよろしくって

言える人間関係っていいよな。

関連記事